三十絃箏の誕生

昭和30年(一九五五)、山田流箏曲家・宮下秀冽の考案により作られた箏で、その後、子息・伸氏とともに、竜角の高さや絃の太さ、材質などの改良を加えて完成された。全長二三五センチ前後、最大幅五六センチ前後という大型の三十絃の箏である。これは、従来の箏の高音域と低音域を増大し、従来の箏では使用しなかった竜角から頭端側や、箏柱から尾部側などの部所も積極的に活用させるようにして打楽器的機能も開拓し、その演奏法も含めて開発されたものである。絃は、低音側は絹絃、高音側はテトロン絃が使われ、十七絃と同様に頭部のピンに巻き付けられている。
箏柱は全体的に大きく、最大は高さ八・三センチ前後である。
現在、宮下伸氏が、さまざまな形で創作・演奏活動をしている。

引用:宮崎まゆみ『箏と箏曲を知る辞典』(東京堂出版・2009年)


参考■NHK-FM『亀治郎の邦楽ジョッキー』2003年10月31日放送
宮下伸「邦楽ミニライブ-三十絃の魅力-」※三十絃の解説・即興演奏など(mp3)